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3月, 2019の投稿を表示しています

当ブログの閲覧にあたって

【ディーヴァな土曜日】不完全さを肯定するポップスター、Ariana Grande

Ariana Grandeはニコロデオンのアイドル的存在として2013年にデビューして以降、紆余曲折ありながらも実に珍妙なキャリアを歩んできた。そんな彼女はいまや最も重要なポップスターの一人である。単純に記録だけを見ても、先日リリースされた最新作『thank u, next』からの3曲がBillboard Hot 100でTOP3を独占するというThe Beatles以来の快挙も成し遂げている。 Ariana Grandeは他のポップスター達とは一線を画す、勇敢で、奇妙で愉快な、思慮深い人間味のあるポップスターである。この5年間、彼女は私たちに様々なことを教えてくれたが、その中で最も重要なメッセージは 「時に間違いを犯しても構わない。完璧でなくて良い。でも自分に正直であれ」 ということだった。 完璧を求められる女性ポップスター 女性のポップスターとして大成するには「完璧」でなければいけない、そう私たちは思い込まされてきた。それはMadonnaやBeyonceにしても、もしくは2010年代を代表するポップスターTaylor Swiftにしてもだ。常にヒット曲を出し続け、若々しいルックスを保ち、完ぺきなパフォーマンスをし、政治的社会的思想すべてにおいて尊敬できる行いをする「フルパッケージ」な存在であることがメインストリームで活躍する女性には求められてきた。もしも彼女たちがそこから一歩でも踏み外せば、途端に批判にさらされる。私たちはそんな例をいくつも見てきた。 そうしたフルパッケージなポップスターと一線を画すアーティストとしてRihannaが思い浮かぶかもしれないが、実は彼女こそ「完璧」なアーティストである。彼女には一切隙がない。「Rihannaを批判することで、逆にその人のブランドが傷つく、もしくは思考の浅はかさが露呈される」という次元にまで自分のブランドを構築してきたアーティストがRihannaである。では本当に「完璧」でなければいけないのだろうか。インディーでは、良いアルバムさえリリースできれば、完ぺきであることは求められない。メインストリームでの地位を確立したヒップホップ・アーティストにはむしろ完ぺきさが求められていない。その隙や弱さ、時に犯した過ちが逆にアーティストの魅力ともなり得る。 Ariana Grandeが2013年に、"T...

The 200 Best Songs of 1990s(30位→21位)

Risky Alternativeが選ぶ1990年代のベスト・ソング200曲。30位から21位まで。 30. Lauryn Hill - Doo Wop (That Thing) (1998) Produced by Lauryn Hill "Doo Wop (That Thing)"は、アメリカのアーティストLauryn Hillのソロ・デビュー・アルバム『The Miseducation of Lauryn Hill』からのファーストシングル曲。全米チャート最高位1位、全英チャート最高位3位を記録した。この曲は、ビルボードの歴史上初めての初登場1位を成し遂げた曲である。ガールフレンドや家族を大事にしない男への警告を発しているこの曲で、彼女はパフォーマンスからソングライティング、プロデュースまですべてを一人でこなしている。この曲のビートは5th Dimensionの1971年の楽曲"Together Let's Find Love"をサンプリングしている。 29. New Radicals - You Get What You Give (1998) Produced by Gregg Alexander "You Get What You Give"は、1997年から1999年の間のみ活動が行われたアメリカのオルタナティヴ・バンドNew Radicalsの唯一のアルバム『Maybe You've Been Brainwashed Too』からのファーストシングル曲である。全米チャート最高位36位、全英チャート最高位5位を記録した。バックヴォーカルとソングライティングにはLana Del Reyのソングライティング・パートナーとして今も活躍しているRick Nowelsが関わっている。フロントマンのGregg Alexanderは現在もソングライターとして活躍を続けており、2013年の映画『はじまりのうた』ではほとんどの音楽の作曲を手掛けている。Adam Levineが劇中で歌う"Lost Stars"はグラミー賞にもノミネートされた。 28. Mobb Deep - Shook Ones (Part II) (1995) Produc...

【ディーヴァな土曜日】Kehlani『While We Wait』アルバム解説

2017年のKehlaniのデビュー・アルバム『SweetSexySavage』以来のリリースとなる新作は、ミックステープ『While We Wait』である。インディペンデントでリリースした2枚のミックステープが注目を集めてレーベルとの契約を獲得したKehlaniにとって、ミックステープは彼女のキャリアを形成する上で重要な位置を占めている。しかし、今回のミックステープは彼女のキャリアを浮上させるための足掛かりとしてリリースされるわけではない。自分自身を解放し、自由な表現を手に入れるための、妊娠というパーソナルな出来事からインスピレーションを得た崇高な営みとして、彼女はミックステープという形態を活用している。 Kehlaniは今年の1月にApple Musicのラジオ「Beats1」のZane Loweとのインタヴューとの中で、ミックステープについて次のように言及している。「あるミックステープを作った。ミックステープって私の音楽であり、幸せそのものなの」と彼女は語っている。「それで、もう一度やってみた。本当にワクワクするくらいに素晴らしいミックステープができたわ」 お腹の中に宿るまだ見ぬ娘への贈り物として、昨年の9月から制作されていたこの『While We Wait』で、彼女は自身の両親の視点から物語を紡いでいる。「おそらく今まで取り組んだ中で、一番シリアスなプロジェクトになったわ」と彼女は語っている。「これは私の両親の物語なの。それは私の物語へと繋がっていき、私の娘への贈り物となっていく。おかげで彼女は自分の原点を知れるの。妊娠しているから、本当に重労働なプロセスよ。自分が母親になろうとしているときに、自分の母親について掘り下げていくんだから」 彼女がメンタルヘルスの問題と闘い続けてきたこと、辛い幼少期を過ごしたことはこれまで何度となく語られてきたが、23歳になったKehlaniは妊娠だけでなく、人生における様々な出来事を前向きに捉えようとしている。「ママになるのが楽しみなの...。感じるがままに身を任せてね。とてつもない痛みがある一方で、とてつもない美しさが介在している全プロセスに完全に身を任せるのって、私にはすごく儀式的なことよ」 今作には失恋の物語もあれば、人を愛することやコミットメントの難しさや複雑性が示唆されている。バイセクシャル...

THROWBACK TO 10 YEARS AGO ~あの頃のわたしに戻って vol.24

(Beyonce"Halo"の荘厳なイントロが流れ始める) 10年前の今日のビルボード・チャートは こちら 。 21. Carrie Underwood - Home Sweet Home 最高位:21位 スコア:2/10 こんな曲をカヴァーしちゃって......。 51. Keith Urban - Kiss A Girl 最高位:16位 スコア:7/10 これぞアイドル・ポップ! 56. Miley Cyrus - Hoedown Throwdown 最高位:18位 スコア:4/10 「ル・ポールのドラァグ・レース」の審査員Michelle Visageはかつて、あるドラァグクイーンにこう言い放ちました。「Hannah Montanaがヒップホップをやってるみたいな恰好ね」 70. Kelly Clarkson - Already Gone 最高位:13位 スコア:9/10 Beyonceの"Halo"と酷似しているという話題性も手伝ってのシングルカット、ヒットだったようだが、彼女は何も怒ったり心配することはなかった。まず、Kelly Clarksonの方がBeyonceのそれより明らかにうまく歌えている。それに、Ryan Tedderはそれ以前に似たような曲を作る達人である。 71. The Black Eyed Peas - Boom Boom Pow 最高位:1位 スコア:10/10 2019年になったが、Fergieの生きる3008年にはまだまだ遠いようだ。 86. Ciara feat. Justin Timberlake - Love Sex Magic 最高位:10位 スコア:10/10 Justin Timberlakeらしいファンキーでレトロだが、未来的なサウンドにゴージャスなCiaraのヴォーカルが乗る。ミュージックビデオでCiaraはJustin Timberlakeの耳を舐め、完全に彼を手玉に取っている。 94. Zac Brown Band - Whatever It Is 最高位:26位 スコア:2/10 こんな曲で口説いている暇があったら、フライドチキン食べるのをやめろ。 96. Pl...

03/26/18: Risky Alternative's 20 Songs of the Week

・Ben Platt - Grow As We Go ・benny blanco, Tainy, Selena Gomez & J Balvin - I Can't Get Enough ・Carly Rae Jepsen - Now That I Found You ・Dijon - Bad Luck ・Ellie Goulding - Flux ・Jade Bird - I Get No Joy ・Jonas Brothers - Sucker ・Lil Peep & ILoveMakonnen feat. Fall Out Boy - I've Been Waiting ・Little Simz feat. Cleo Sol - Selfish ・Maluma - HP ・Monica - Commitment ・Ms Banks feat. Kida Kudz - Snack ・Octavian feat. Skepta & Michael Phantom - Bet ・Rita Ora feat. 6LACK - Only Want You ・Runaway June - Buy My Own Drinks ・Ski Mask The Slump God - Faucet Failure ・Solange - Almeda ・Thomas Rhett - Look What God Gave Her ・TXT - CROWN ・欅坂46 - 黒い羊

The 200 Best Songs of 1990s(40位→31位)

Risky Alternativeが選ぶ1990年代のベスト・ソング200曲。40位から31位まで。 40. Brownstone - If You Love Me (1994) Produced by Dave "Jam" Hall "If You Love Me"は、アメリカのR&BグループBrownstoneのデビュー・アルバム『From the Bottom Up』からのセカンド・シングル曲。全米チャート、全英チャート共に最高位8位を記録した。この曲は、2015年にTory Lanezがヒット曲"Say It"で全編にわたりサンプリングしたことで話題を呼んでいる。BrownstoneのメンバーだったCharmayne Maxena "Maxee" Maxwellは2015年に46歳で亡くなっている。 39. Portishead - Glory Box (1995) Produced by Portishead & Adrian Utley "Glory Box"は、イギリスのエレクトロニック・バンドPortisheadのデビュー・アルバム『Dummy』からのサード・シングル曲。全英チャート最高位13位を記録した。『ザ・クラフト』『わたしに会うまでの1600キロ』など様々な映画に使用されている。グローリーボックスとは、女性が結婚に備えて服などを仕舞っておくための家具のことを言う。この曲でサンプリングされているIsaac Hayesの"Ike's Rap II"は2015年、Alessia Caraの"Here"でサンプリングされてヒットを記録した。 38. Ginuwine - Pony (1996) Produced by Timbaland "Pony"は、アメリカのR&BアーティストGinuwineのデビュー・スタジオアルバム『Ginuwine...the Bachelor』からのファーストシングル曲。全米チャート最高位6位、全英チャート最高位16位を記録したこの曲はTimbalandのプロデューサーとしての出世作として知られ...

【ディーヴァな土曜日】Sigrid『Sucker Punch』アルバム解説

2018年にBBC Musicの選ぶ"Sound of 2018"の第1位に選出されたノルウェー出身のシンガーソングライターSigridが、その栄誉から1年という長めのスパンを経て、ようやくデビュー・スタジオ・アルバム『Sucker Punch』をリリースした。流行の移り変わりの激しい現在の音楽業界において、1年のスパンを設けることはリスクにもなり得る。しかし、この期間こそが彼女のクリエイティヴィティを発揮するのに必要な時間だった。「もしもフライトとかのために早起きしなきゃいけなかったら?創造性なんて生まれないわ。リラックスする必要があるの」 2018年初頭にヒットを記録したバンガー"Strangers"は初の全英トップ10入りを記録したものの、その後はおとなしめな活動を続けていたSigridだが、今作で彼女はアーティストとしての自身の才能を証明すると同時に、新しい形のスターの誕生を体現している。実際、驚くほどに彼女はうまくやっている。近年、あまりに画一化されて食傷気味だったインディーなポップミュージック・シーンに新たな風穴を開けているのだ。 デビュー時からの強力なソングライターのパートナーであるMartin Sjølieをメインに、少数精鋭のソングライター達と制作が行われたことが、何よりも今作を他のポップ・レコードとは異なる特別なものたらしめている。彼女は次のように語っている。「同じ人と曲を書くのが好きなの。周囲で働いているのはみんな素晴らしい人たちだし。それにみんな、快適で心地いい気持ちでいることが本当に重要だって思ってくれているから」 彼女は2017年にデビュー曲"Don't Kill My Vibe"が初めてヴァイラル・ヒットを記録したときのことを次のように振り返っている。「あの曲がリリースされた日のことは本当によく覚えている。ロンドンからベルギー行きのフライトに乗っててね。そこには酷いWi-FiがあったからInstagramやFacebookからニュースサイトに至るまで何度も何度も更新しまくっていたの。あんなことが地上で起こっているときに、私は完全に一人で空中にいたっていうのはすごく奇妙でエキサイティングなことだったわ」 当初スタジオで、年上男性ばかりの周りの大人か...

THROWBACK TO 10 YEARS AGO ~あの頃のわたしに戻って vol.23

Miley?レジェンド。U2?レジェンド。Mariah?レジェンド。John LegendはJohn Legend。 10年前の今日のビルボード・チャートは こちら 。 06. Miley Cyrus - The Climb 最高位:4位 スコア:10/10 Demi LovatoでもSelena GomezでもAriana Grandeもなく、Miley Cyrusが歌うからこそ意味のある歌。 73. LMFAO - I'm In Miami Trick 最高位:51位 スコア:6/10 いまや女性自身が、自分のアティチュードを表明するたびに"Bitch"を使うようになっているが、10年前の当時はラジオでその言葉を連呼することは良しとはされていなかったのは不思議な感じがする。この曲も必ずしも軽蔑的な意味で使われているわけではないが。そんなわけで、ラップ・コミュニティでビッチの意味で使われていたTrickがタイトルに採用されている。 79. U2 - Magnificent 最高位:79位 スコア:8/10 『The Joshua Tree』の時代を思い出させるサウンドだが、Coldplay以降の現代的な感覚を携えており、高揚感がある。 82. The-Dream feat. Mariah Carey - My Love 最高位:82位 スコア:9/10 理由は分からないが、キレているThe-Dreamを見つめるMariah Careyの軽蔑の表情を見て。言うまでもなく、二人の相性の良さは彼女自身のヒット曲の数々で証明されており、これも例外ではない。 87. Mike Jones - Next To You 最高位:71位 スコア:7/10 可憐なNae Naeのヴォーカルにすべて持ってかれている。 88. Rick Ross feat. John Legend - Magnificent 最高位:62位 スコア:6/10 同じタイトルの曲が同時にニューエントリー?ちなみにこれは当時4例目となる出来事で、1993年2月にMary J. BligeとMick Jaggerが"Sweet Thing"で同時にエントリーして以来のことで...

03/19/18: Risky Alternative's 20 Songs of the Week

・Alicia Keys - Raise A Man ・Ari Lennox & J. Cole - Shea Butter Baby ・Circa Waves - Times Won't Change Me ・DJDS, Col3trane & RAYE - The Fruits ・Doja Cat feat. Rico Nasty - Tia Tamera ・ELHAE feat. Big K.R.I.T. - Sanctuary ・Gunna - Big Shot ・iri - Wonderland ・Kehlani feat. Dom Kennedy - Nunya ・Kevin Morby - No Halo ・Lil Baby - Pure Cocaine ・Lloyd feat. City Girls - Caramel ・Lost Kings feat. Wiz Khalifa & Social House - Don't Kill My High ・Ninho - Goutte d'eau ・Offset feat Gucci Mane - Quarter Milli ・Tierra Whack - Only Child ・Tiffany Young - Lips On Lips ・Toro y Moi - Ordinary Pleasure ・Yung Pinch - Wouldn't Be Nothing ・あいみょん - 夢追いベンガル

The 200 Best Songs of 1990s(50位→41位)

Risky Alternativeが選ぶ1990年代のベスト・ソング200曲。50位から41位まで。 50. Janet Jackson - Escapade (1990) Produced by Jimmy Jam and Terry Lewis & Janet Jackson "Escapade"は、アメリカのシンガー・ソングライターJanet Jacksonの通算4作目のアルバム『Janet Jackson's Rhythm Nation 1814』からのサード・シングル曲。全米チャート最高位1位、全英チャート最高位17位を記録した。この曲は日本航空の本人出演のコマーシャルソングに使用された。Britney Spearsは2013年に『Britney Jean』をリリースした際に、この曲のような「ハイエナジーですごく楽しいアップテンポ」なものを作ろうとしていたと語っている。 49. Jay-Z - Hard Knock Life (Ghetto Anthem) (1998) Produced by The 45 King "Hard Knock Life (Ghetto Anthem)"は、アメリカのラッパーJay-Zの通算3作目のアルバム『Vol. 2... Hard Knock Life』からのセカンド・シングル曲。全米チャート最高位15位、全英チャート最高位2位を記録した。ミュージカル『アニー』の"It's the Hard Knock Life"をサンプリングしている。2014年に映画化された『ANNIE/アニー』で彼はプロデューサーの一人として名を連ねている。2015年にはDr. Dreが"Gone"で、2018年にNipsey Hussleが"Hussle & Motivate"でこの曲をサンプリングしている。 48. Radiohead - Paranoid Android (1997) Produced by Nigel Godrich & Radiohead "Paranoid Android"は、イギリスのオルタナティヴ・ロックバンドRadioh...

【ディーヴァな土曜日】Solange『When I Get Home』アルバム解説

称賛された2016年のアルバム『A Seat at the Table』に続くSolangeの新作『When I Get Home』は、水面下で順調に制作が進められていた作品である。インタヴューでその存在は幾度かSolangeは言及していたものの、今年2月27日にソーシャルメディア上で、ヒューストン出身のラッパーMike Jonesの有名な電話番号をティーザー映像が公開されたことで、それがすぐさまリリースされることになるのを私たちは知ることになる。28日にトラックリストが明らかにされ、3月1日にはこの新作がリリースされる運びとなった今作は、オーガニックでジャジーで温かみのある作品であると同時に、実験的で自然発生的な質感によって、不思議な感覚に陥る作品である。 2018年10月、『T: The New York Times Style Magazine』とのインタヴューの中で、Solangeは来る新作について、ニューオーリンズ、ヒューストン、トパンガ・キャニオン、ジャマイカを行き来しながらレコーディングしていることを明かしていた。「コアにあるのはすごくジャズなものなんだけど、エレクトロニックでヒップホップなドラムやベースもある。みんなをびっくりさせてトランクが空になるようなものにしたいからね」 この時点でほとんど完成していたと思われるこの作品について、彼女は「温かみがある」と同時に「流動的でより官能的」なものになると語ってる。今作のテーマ、並びに一聴して感じ取れる前作との大きな違いは、彼女のこの発言が物語っているだろう。「明らかに、『A Seat at the Table』では言いたいことがたくさんあった。今作では感じたいってことがたくさんあったの。言葉にしてしまえば、私が感じたり表現したいことが矮小化されてしまっていたと思う。言いたいことは、音波の中にあるから」 「前作のツアーをした後、たくさんのことが私の精神に起こっていたと思っていて。しかもそれは、制御の効かないようなタイプのね」と彼女は自身のメンタルヘルスの問題についても赤裸々に明かしている。2017年にSolangeは、自律神経失調症の治療のためにライブをキャンセルしたことがある。しかし彼女は今作の制作を通して、自身の安寧や自由な感覚を取り戻していくことになる。「私に時間をくれた、美しい愛の情事の...

THROWBACK TO 10 YEARS AGO ~あの頃のわたしに戻って vol.22

あなたにとって、これらの曲は今もときめき(spark joy)を感じるものですか? 10年前の今日のビルボード・チャートは こちら 。 47. Brooke White - Hold Up My Heart 最高位:47位 スコア:3/10 空気。 54. Maino feat. T-Pain - All The Above 最高位:39位 スコア:4/10 Started from the bottom, now we're here~♪(マイアハッハ~) 57. Flo Rida feat. Pleasure P - Shone 最高位:57位 スコア:5/10 まぁまぁ、落ち着きなさい。ところで、ショーンとは誰のことかな? 66. Pitbull - I Know You Want Me (Calle Ocho) 最高位:2位 スコア:9/10 レゲトンとユーロダンスの融合は天才Lil Jonの手によって見事に成功したわけだが、彼も徐々にEDMブームの波に飲み込まれていくことになるのだった。 84. Jonas Brothers - Love Is On Its Way 最高位:84位 スコア:2/10 当時のKaty Perryもビックリな癖の強い歌い方である。注目すべきポイントはホットドッグを売るKevin Jonasだけである。 89. Rascal Flatts - Here Comes Goodbye 最高位:11位 スコア:3/10 thank u, next 90. John Rich - Shuttin' Detroit Down 最高位:75位 スコア:5/10 メッセージはあるが、メロディーがない。 92. Jennifer Hudson - If This Isn't Love 最高位:63位 スコア:7/10 Beyonceの歌うバラードよりもトレンディで抑え気味なアプローチは、ヴォーカル自慢の他の女性アーティストたちとの差別化に成功している一方で、彼女の個性を見えにくくしている。 93. M.I.A. & A R Rahman - O... Saya 最高位:93位 スコア:4...

03/12/18: Risky Alternative's 20 Songs of the Week

・American Football feat. Hayley Williams - Uncomfortably Numb ・Beck feat. Robyn & The Lonely Island - Super Cool ・Cardi B & Bruno Mars - Please Me ・Catfish and the Bottlemen - Longshot ・Charlotte Adigery - High Lights ・CupcakKe - Squidward Nose ・Don Patricio & Cruz Cafune - Contando Lunares ・Foals - On The Luna ・GASHI feat Ledri Vula - That's Mine ・Juice WRLD - Robbery ・Juicy J feat. Kevin Gates & Lil Skies - Let Me See ・KANDYTOWN - Till I Die ・Karen O & Danger Mouse - WOMAN ・Keke Palmer - Better To Have Loved ・Khalid & Kane Brown - Saturday Nights REMIX ・King Gizzard & The Lizard Wizard - Cyboogie ・Lizzo - Cuz I Love You ・LOONA - Butterfly ・SASAMI - Jealousy ・ちゃんみな - I'm a Pop

The 200 Best Songs of 1990s(60位→51位)

Risky Alternativeが選ぶ1990年代のベスト・ソング200曲。60位から51位まで。 60. Everything but the Girl - Missing (1994) Produced by Ben Watt & Todd Terry "Missing"は、イギリスの音楽デュオEverything But the Girlの通算8作目のアルバム『Amplified Heart』からのセカンド・シングル曲。Todd Terryによるクラブ・ミックスが成功に大きく寄与した結果、全米チャート最高位2位、全英チャート最高位3位を記録する世界的なヒット曲となった。メンバーのTracey ThornとBen Wattは27年の交際を経て、2008年に結婚している。Tracey Thornはソロ・シンガーとして現在も活動を続けている。 59. Sir Mix-a-Lot - Baby Got Back (1992) Produced by Rick Rubin & Sir Mix-a-Lot "Baby Got Back"はアメリカのラッパーSir Mix-a-Lotの通算3作目のアルバム『Mack Daddy』からのセカンドシングル曲。デトロイト・テクノであるChannel Oneの"Technicolor"をサンプリングしている。全米チャート最高位1位、全英チャート最高位56位を記録した。2014年にはNicki Minajが"Anaconda"でこの曲のビートやリリックを大々的にサンプリングしたことで注目を集めた。女性をモノとして捉えていると当時は批判されていたが、様々な女性の体型を肯定する楽曲としての評価を現在は確立している。 58. Next - Too Close (1997) Produced by Key Gee "Too Close"はアメリカのR&BグループNextのデビューアルバム『Rated Next』からのセカンドシングル曲。全米チャート最高位1位、全英チャート最高位24位を記録した。Koffee BrownのVeeがヴォーカルで参加している。Kurtis Blowの...

【ディーヴァな土曜日】Chaka Khan『Hello Happiness』アルバム解説

文字通りのソウル・ディーヴァ・レジェンドChaka Khanの12年ぶりの新作『Hello Happiness』がついにリリースされた。10回のグラミー受賞歴を誇る彼女はこの新作で、今も圧倒的な輝きを身に纏いながら前に進み続けていることを証明している。前作『Funk This』でJimmy Jam & Terry Lewisとダッグを組み、自身のヴォーカリストとしての才能を最大限に発揮した彼女は、今作ではハッピーなヴァイブを身に纏い、時にひっちゃかめっちゃかなサウンド上で、その圧倒的な歌声を轟かせている。 今作の制作にあたって起用されたのは、Major Lazerの元メンバーでプロデューサーのSwitchとシンガーソングライターのSarah Ruba Taylorである。意外な組み合わせのこの3人での初めての共同作業について「お互いを称賛し合った」と語るChaka Khanだが、『The Guardian』に「彼らが私のことをグーグル検索する必要がなかったのは十分明白だったわ」と語る今作『Hello Happiness』は、まさにChaka Khanらしいファンクなアルバムである。7曲入りとあっと間に終わってしまう今作で、いまだに瑞々しく張りのあるディーヴァな彼女の歌唱は健在の一方で、先鋭的なダンス・トラックが強烈な印象を残す内容となっている。 しかし実際、70年代風のファンク・サウンドと、このダンス・トラックの数々との親和性の高さはすでに約束されているようなものである。70年代初頭にファンク・バンドRufusのリード・ヴォーカリストとしてデビューし78年以降のソロキャリアにおいても輝かしい軌跡を描いてきた彼女は『Billboard』に次のように語っている。「私のキャリアが始まってからずっと、クラブではDJが私の曲を流していた。だけど、ダンス・ミュージックを作るダンス畑の人と制作しようと意図したのは今回だけよ」 そんな彼女のジャンル面でボーダーレスなサウンドは今でこそ、彼女のトレードマークとなっているが、それが原因でレコードレーベルとの戦いをキャリアを通してずっと強いられてきたことを彼女は明かしている。「こう言われたの。『Mary J Bligeみたいなサウンドをあなたにやってもらいたい』ってね」 彼女の闘いはこれだけではなかった。人...

THROWBACK TO 10 YEARS AGO ~あの頃のわたしに戻って vol.21

Nicole Scherzingerの本名はニコール・プレスコヴィア・エリコラニ・バリエンテ・シャージンガーです。 10年前の今日のビルボード・チャートは こちら 。 95. Spectacular! Cast - Break My Heart 最高位:95位 スコア:2/10 これは何?(情報不足) 96. Ciara feat. Young Jeezy - Never Ever 最高位:66位 スコア:8/10 "Promise"を制作した黄金コンビPolow da DonとBlackElvisによるこの曲は、より控えめでありながら地に足の着いた現実的な内容の曲である。「今彼があなたを愛していないなら、決してこれからもあなたを愛することはない」...。Ciaraは有言実行の女である。 98. Rodney Atkins - It's America 最高位:44位 スコア:3/10 Bruce Springsteenを悪用するな。 100. A R Rahman & The Pussycat Dolls feat. Nicole Scherzinger - Jai Ho! (You Are My Destiny) 最高位:15位 スコア:9/10 時々思う。Nicole Scherzingerはこの路線を極めても良かったのではないかと。

03/05/18: Risky Alternative's 20 Songs of the Week

・Ally Brooke feat. Tyga - Low Key ・Ben Platt - Ease My Mind ・Ciara - Greatest Love ・Cuco & Dillon Francis - Fix Me ・Heuss L'enfoire feat. Koba LaD - George Moula ・Iman - HaNdel Bars ・Jarryd James - Slow Motion ・Kacey Musgraves - Rainbow ・KOFFEE - Throne ・Lolo Zouai feat. Blood Orange - Jade ・Loota feat. KOHH - Endless ・Mahalia - Do Not Disturb ・Marina - Handmade Heaven ・Megan Thee Stallion - Big Ole Freak ・P Money - No One ・Paulo Londra - Forever Alone ・Rex Orange County - New House ・Sneakk feat. Tyga & YG - Spray ・Years & Years & MNEK - Valentino ・Zedd & Katy Perry - 365

The 200 Best Songs of 1990s(70位→61位)

Risky Alternativeが選ぶ1990年代のベスト・ソング200曲。70位から61位まで。 70. Jay-Z - Dead Presidents  (1996) Produced by Ski "Dead Presidents"は、アメリカのラッパーJay-Zのデビュー・アルバム『Reasonable Doubt』からのファースト・シングル曲。実際にはリリックが異なる"Dead Presidents II"がアルバムには収録されている。全米チャート最高位50位を記録した。全編においてLonnie Liston Smithの"A Garden of Peace"のリフをサンプリングしているほか、A Tribe Called Questの"Oh My God (Remix)"がサンプリングされている。また、"The World Is Yours"の"I'm out for dead presidents to represent me"というNasのラップをサンプリングしたことが両者のビーフに繋がったと言われており、Jay-Zは後に"Takeover"でそのことに言及している。 69. Hole - Celebrity Skin (1998) Produced by Michael Beinhorn "Celebrity Skin"は、アメリカのオルタナティヴ・バンドHoleの通算3作目のアルバム『Celebrity Skin』からのファーストシングル曲。全米チャート最高位85位、全英チャート最高位19位を記録した。Billy Corganがギターリフを作曲したというこの曲はHoleにとって最も成功したシングル曲の一つとして知られている。リリックにはWilliams ShakespeareやDante Gabriel Rossettiの作品からの引用がある。映画『アメリカン・パイ』に使用された。 68. Ol' Dirty Bastard feat. Kelis - Got Your Money (1999) Produced by The Neptun...

【ディーヴァな土曜日】不完全さを肯定するポップスター、Ariana Grande

Ariana Grandeはニコロデオンのアイドル的存在として2013年にデビューして以降、紆余曲折ありながらも実に珍妙なキャリアを歩んできた。そんな彼女はいまや最も重要なポップスターの一人である。単純に記録だけを見ても、先日リリースされた最新作『thank u, next』からの3曲がBillboard Hot 100でTOP3を独占するというThe Beatles以来の快挙も成し遂げている。 Ariana Grandeは他のポップスター達とは一線を画す、勇敢で、奇妙で愉快な、思慮深い人間味のあるポップスターである。この5年間、彼女は私たちに様々なことを教えてくれたが、その中で最も重要なメッセージは 「時に間違いを犯しても構わない。完璧でなくて良い。でも自分に正直であれ」 ということだった。 完璧を求められる女性ポップスター 女性のポップスターとして大成するには「完璧」でなければいけない、そう私たちは思い込まされてきた。それはMadonnaやBeyonceにしても、もしくは2010年代を代表するポップスターTaylor Swiftにしてもだ。常にヒット曲を出し続け、若々しいルックスを保ち、完ぺきなパフォーマンスをし、政治的社会的思想すべてにおいて尊敬できる行いをする「フルパッケージ」な存在であることがメインストリームで活躍する女性には求められてきた。もしも彼女たちがそこから一歩でも踏み外せば、途端に批判にさらされる。私たちはそんな例をいくつも見てきた。 そうしたフルパッケージなポップスターと一線を画すアーティストとしてRihannaが思い浮かぶかもしれないが、実は彼女こそ「完璧」なアーティストである。彼女には一切隙がない。「Rihannaを批判することで、逆にその人のブランドが傷つく、もしくは思考の浅はかさが露呈される」という次元にまで自分のブランドを構築してきたアーティストがRihannaである。では本当に「完璧」でなければいけないのだろうか。インディーでは、良いアルバムさえリリースできれば、完ぺきであることは求められない。メインストリームでの地位を確立したヒップホップ・アーティストにはむしろ完ぺきさが求められていない。その隙や弱さ、時に犯した過ちが逆にアーティストの魅力ともなり得る。 Ariana Grandeが2013年に、"T...